泥湿布(泥シップ)のレシピと作り方について
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こんにちは、西宮市のまつむら鍼灸整骨院の松村です。
今回の記事は、同業の先生、すなわち「柔道整復師」の先生以外には全く興味がない内容となっております。
また、柔道整復師は捻挫、打撲、肉離れ等の外傷に対して施術することが本業ですが、外傷を診ることができない若い柔道整復師の先生の中でも、外傷そのものに興味がない先生にとっても全く興味のない内容となります。
一番最初に泥湿布のことをブログで書いたのはもう数年前のアメブロでした。
その頃から何度か泥湿布関係の記事を書いたのですが、そのせいおかげで、全国の柔道整復師の先生から

「泥湿布、どうやって作るんですか?」
「泥湿布の材料を教えてください!」

というメール、コメント、電話をいただくようになりました。

別に私のオリジナルではなく、私自身も修業時代に教えていただいた事ですし、私の出身校である「明治東洋医学院専門学校」でも実技の時間に教えていただいたことですので、作り方や材料や仕入れ先などをお伝えすることに関しては全然問題ありません。

ただ・・・
ほとんどの先生は礼節もお守りになるのでいいのですが、なかには無礼千万な先生がいるんですよね。

治療中にいきなり電話をかけてきて、名前も名乗らずに、タメ口で

「シップの作り方教えてほしいねん」

とか。
うちの場合は受付スタッフが電話に出ることがほとんどですが、こちらが患者さんを治療中でも

「時間かからへんから、ちょっと呼んで」

みたいなのもいます。
何考えてんでしょうかね。
私はそんなデキた人間ではないので、そういうのにはイジワルしちゃいたくなるんですけど、イジワルしたらイジワルしたで、そういう人間はややこしいので相手すること自体を避けたいところです。
それに、メールにしてもコメントしても電話にしても、かなりの数になってきて、なかなか全部に個別に対応できないため、泥湿布の作り方を公開しちゃおうと思って今回書かせていただくことに致しました。

仕入れ先と材料

仕入れ先

仕入れ先は「増田薬品」という会社です。
購入するには会員登録が必要です。
別に私の紹介とか言わなくても登録できます。
ちなみに私の紹介と言っても何の特典もありません。笑
ただ、どうせなら「松村先生、いつも紹介ありがとうございます!」って増田薬品さんから言われたい!
そういう浅ましい欲望を私は持っています。笑
ただで作り方教えるんですから、せめて増田薬品さんに電話する際は「兵庫県西宮市のまつむら鍼灸整骨院さんのブログに書いてるのを読んで」と言ってください。
ただし、無礼な人は辞めてください。
と言っても、無礼な人は自分のことを無礼な人だと思ってないから難しいんですよね〜
とりあえず、無礼な人のために書きますが・・・

【相手が年下でも知らない人とお話するときは敬語使いましょう!】

これで無礼度は少し下がりますので、増田薬品さんの電話対応の方に不快な思いをさせないようにだけは気をつけましょうね。

「こっちは買う側やからなんでもええやろ!」

そういう考えの人に私の名前を使って欲しくないので、この記事読んでムカついた先生は別に私の紹介と言わずとも登録できるので、あたかも自分だけの力で探し当てたかのように振る舞っていただければ助かります。

仕入れる材料

仕入れる材料ですが、メインは4つだけです。
一応、おまけの2つも紹介させていただきますが。。。

①ボルグレイ

火山灰からできた泥だそうです。
凄く水を含みます。
これのおかげで冷却効果があります。
ボルグレイがない場合や、粉末からコネるのが面倒な先生は「ハルシン」というシップの基剤が売っています。そちらでも問題はないかと思いますが、水分を含むという点ではボルグレイのほうが自然なので、冷却効果は高く肌に優しいでしょう。
※増田薬品さんのサイトに載っていない場合でも、電話で受注していただける場合があります。
そのあたり私はわかりませんので増田薬品さんに直接電話してください。

②オオバク末 or クロ末

炎症を抑える漢方です。
漢方っぽいニオイがします。
オオバク末は黄色、クロ末は黒色です。

③油紙

泥湿布のベースになります。

④和紙、もしくはガーゼ、もしくは巻軸包帯

使い方は後述しますが、こちらも必須になります。

※カンフル精

消炎剤ですが、入れすぎると必ずかぶれます。
また、薬機法(旧薬事法)的に入れていいのかどうかわからなかったため、作成当初は入れていましたが現在は入れておりません。

※サリチル酸メチル

こちらも消炎剤ですが、同じく入れすぎると必ずかぶれます。
こちらも同様に薬機法(旧薬事法)的に入れていいのかどうかわからなかったため、作成当初は入れていましたが現在は入れておりません。

実際の作り方

①容器にボルグレイとオオバク末(クロ末)を入れる

IMG_1406
ちょっと見えにくいですが、容器の下のほうに入っているのがボルグレイ、上の黄色い粉末がオオバク末です。
水との比率や分量は・・・・
わかりません。笑
何度も作っては試し、作っては試し・・・をして、ちょうどいい配合を手でコネるときの感触で覚えてしまったので、ご覧の方も材料費はそれほど高くありませんので、何度も試作して手で覚えてください。
そのほうが忘れませんよ。

②容器に水を少しずつ入れてコネる

IMG_1407
これは小麦粉を水に溶くのと同じ要領です。
水をたくさん入れるとダマになってしまいますので、くれぐれもご注意くださいね。

③ひたすらコネる!


正直、しんどいです。笑
時間もかかります。
しかし、それを耐え忍び、コネ続けると、急にスムーズになるポイントがあります。
私はこれを「コネコネの向こう側」と呼んでおります。
コネコネの向こう側に行くまでしっかりコネてください。

④コネコネからヌリヌリへ


まずは上の写真のように油紙と和紙(写真は巻軸包帯)を用意します。
次に、下の写真のように、油紙に和紙(写真は巻軸包帯)をひき、その上にコネコネした泥を塗っていきます。



こんな感じでできあがってきました。

⑤仕上げ

あとは、端を折り、紙バンでとめて、ラップをする、もしくは真空パックをするだけです。

↑こんな感じになります。
後は冷蔵庫に保管です。真空パックにする理由ですが、大量に作った場合、ラップだとカビる場合があるからです。
一ヶ月位は大丈夫だったと思いますが、一度気合いを入れて大量に作って最後の10枚ほどカビてしまい、せっかくの力作を廃棄しなければならないという悲しい出来事がありました。
ですので、数枚はラップ、残りは真空パックとしています。

実際の使い方

基本は包帯固定

まさかもうギックリ腰をアイシングしている時代遅れの先生はいないと思いますので、実際に使用する部位は、足関節や膝関節、手関節、肘関節、肩関節や下腿部、大腿部、前腕部、上腕部が多いと思います。
肩関節以外は基本的に「巻軸包帯+弾性包帯」での固定となります。
泥湿布自体が固定具材的な役割にもなりますので、固定力も上がります。
足関節捻挫の場合は、最近はすぐにギプスやキャスト材での固定ってのが流行っています。
特にATFL、CFに圧痛があるという、いわゆる臨床分類のⅡ度と判断される場合に使用することも多く、実際整形外科でもその方法を取ることが多いのですが、我々柔道整復師は、いや、柔道整復師だからこそ、なるべく生活に密着した形での固定を目指すほうが柔道整復師っぽいと私は考えています。
ですので、私はなるべくギプス、キャストを使用せず、かつ固定力があるようにし、患者さんでも着脱可能で皮膚トラブルをなるべく起こさないということを心がけております。
ただ、肩関節の場合のみ包帯だと体幹部に包帯を巻きつけることになるため、粘着シートを活用します。五十肩の炎症期は、泥湿布と提肘、そして就寝時のポジション指導だけで夜眠れない、もしくは夜中に目が覚めるほどの痛みを訴える患者さんが、即寝できます。笑

※衣服の汚れに注意

問題は、泥の成分がどうしてもにじんでくることによる衣服の汚れです。
ただ、汚れても洗えばすぐに落ちるのですが、まあ汚れないにこしたことはありません。
包帯
サランラップ
泥湿布
皮膚
という感じで、泥湿布と包帯の間にサランラップを入れることで汚れなくなります。
ただ、通気性ゼロなので、私は包帯を少し分厚く巻いています。
念のため・・・
という感じで、患者さんにも汚れがつくことに注意するようにお伝えしております。

患者さん自身での使用方法

例えば私の院で泥湿布を使用して固定したとします。
帰宅し、お風呂に入る場合は固定と泥湿布を取っていただき、泥湿布の水分が減っていたら霧吹きで水をかけていただき、ラップをしてお風呂の間は冷蔵庫に入れてもらいます。
その後、弾性包帯のみで泥湿布を患部に当てていただき、就寝していただくように、包帯の簡単な巻き方から指導しております。
凍傷を起こしたり、発赤が起こるほどの温度で冷やすわけではないため、こうすることでかなり早く腫れがひきます。
腫れがひくと痛みもかなり軽減するため、患者さんのQOLもすぐに向上していくのでとても喜ばれます。

まとめ

今回のブログは一般の方には本当に何もわからない内容となってしまい申し訳ございません。
全国の、外傷と戦う柔道整復師の先生が、少しでも良いツールを手に入れていただければ嬉しい限りです。
ちなみに、泥湿布って、昔の先生はみな使っておられたとか。
なんでも最新がいいわけではなくて、古き良き時代のものを残していくことも重要ですよね。
特に我々の業界は、他業種から色んなことが入ってきて、古いものがなんだかすべてダメみたいな感じのマーケティングをされていますが、こういうツールだけではなく、子弟制度でも職人を育むためには昔の方が絶対によかったわけですから。
あ、あと残念ながら包帯が巻けない先生は泥湿布を効果的に使用するのは非常に難しいです。
なんせ全く粘着力がないですので。
ホワイトテープの固定力って、テープを巻いて30分ほどがピークと言われていますが、巻軸包帯は上手に巻けば固定力の低下はあまり起こりません。
せっかく外傷の専門家である「柔道整復師」になったわけですから、売上管理の勉強ばかりせず、今からでも遅くないので勉強と技術研鑽に励んでみてはいかがでしょうか?

(柔道整復師・鍼灸師 松村正隆 監修)

9 Comments on “泥湿布(泥シップ)のレシピと作り方について”

  1. 始めまして。
    球磨の整骨院の永野清茂と申します。
    ずっと探していました・親切に教えて下さっていて、夢のようです!
    助かります!有り難うございます。
    早速に増田薬品で新規登録させて頂きたいと思います。
    今後ともよろしくお願いいたします。

    1. 永野先生
      コメント確認できておりませんでした。
      わざわざありがとうございます。
      泥湿布は外傷の際本当に効果的ですのでぜひぜひご活用くださいませ。

  2. すみません。
    外からやってきました。
    ずっと「泥湿布」を探しているのですが、これは一般人には購入できないのでしょうかね。こちらで紹介されている増田薬品さんは「紹介コード」が必要と出てしまいました。
    整体ではなく泥湿布の販売などはしていただけないでしょうか…

    1. 申し訳ございませんが増田薬品さんに直接お問い合わせください。
      なお、ご本人がご使用になる分は問題ありませんが、医師か柔道整復師の国家資格がない限り、捻挫、打撲、挫傷(肉離れ)などの施術を業とするのは医師法、柔道整復師法に違反となりますのでご注意くださいませ。

  3. 始めまして。
    横浜で柔道整復師をさせていただいています、オギクボと申します
    研修させていただいていた所で ハルシンでの 湿布は使っていたのですが、こう行った粉末から こねるタイプのあるのですね、非常に勉強になりました
    今後、自分でやるときの参考にさせていただければと思います
    ありがとうございます

    1. オギクボ先生
      初めまして。
      このシップは、ハルシンのように基剤をただ塗るのではなく、泥から作ることで、例えばカンフルやサリチル酸メチルを入れなければ肌が弱い患者様にも対応できますし、冷却効果はハルシンよりも良いので炎症を抑えるためにはもってこいです。
      ただ難点は作る手間がかなりかかるということと、ひどい炎症以外はあまり使わないということです。
      重度の捻挫や完全ギプス固定をしなくても済む骨折などには有効かと思われますので、ぜひトライしてみてください。

  4. はじめまして。
    北海道函館市で整骨院をしております、工藤瞬と申します。
    手作り湿布の紹介有難うございました。
    大変勉強になりました。
    今度、作ってみたいと思います。
    一つ質問なのですが、この湿布を自身で作り販売することは可能でしょうか?
    お忙しいところ恐縮ですが、お時間のある時にご返答宜しくお願い致します。

    1. コメントありがとうございます。
      返信遅くなりました。
      薬機法は詳しくはありませんが、それに抵触する成分が配合されていない限り販売もできるかと。
      問題は粘着性がないので包帯の巻き方までお伝えしないといけないという部分ですかね?
      まあ泥湿布を使うほどの外傷はそれほど多くはありませんので、当院の場合は包帯交換に来ていただくようにしておりますし、炎症が少し落ち着けば必要なくなるので、それほど長期間の使用もないので販売まではしなくてもいいかな〜って感じで考えております。
      参考になりましたら幸いです。

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