こんにちは、西宮市のまつむら鍼灸整骨院院長の松村です。
当院でも「肩こりがつらくて・・・」とたくさんの患者さんにご来院いただいております。
そんな中で、肩こりと枕の因果関係についてお悩みの方が多いのも事実。
例えば先日受診された患者さんの場合、
「職場の異動でデスクワークになり、運動不足もあるかもですが、枕を変えてからしっくりこなくて肩こり、首こりが酷くなった気がします。低反発の枕で寝る前ごろごろしている分には気持ちいいのですが・・・特に、首凝りや肩こりやが寝起きにひどく朝起きたら辛い状態です。」
と言われました。
(エピソードのブログ掲載許可いただいております)
こちらの患者さんに限らず、肩こりでお悩みの方が当院に初めて受診された際に、
「合わない枕を使っているから肩が凝るのですかね?」
と質問される方が少なくありません。
その際、僕は必ず「ご安心ください、実は枕をきっちりと合わせないと肩こりになるということはないんです」と回答させていただいています。(ただし、極端に高さのある枕だったり、すごく首が前屈[喉を圧迫]してしまうものは除きます。)
もちろん、一切関係ないというわけではなく、形や硬さなど多少影響が出ることはあります。
しかし、世間では肩こり専用枕みたいな感じで、あたかもその枕で寝る以外のことをすると肩こりがひどくなってしまうかのような表現で販売されているものもあるので〝枕が合わないと必ず肩がこる〟〝枕が合うとどれだけデスクワークしても肩がこらない〟と思ってしまわれても仕方ない状況です。
今回は、肩こりの本当の原因を解説させていただき、肩こりと枕にそれほどの因果関係がない理由についてお伝えしたいと思います。
なぜ枕と肩こりの因果関係があるように思ってしまうのか?
ネットなどで調べてみると、枕が合わないと肩こりの原因になるというサイトが多いように感じます。
それをみると、
「やっぱり枕が悪いのか!」
「枕を変えたら肩こりがなくなるんじゃないか?」
と思ってしまいますよね。
実は、そういうサイトのほとんどは枕を売ってる会社が作っていることがほとんどなのです。
つまり、
「あなたが肩こりに悩まされているのは今使っている枕が原因だ!」
と洗脳し、「この枕ならあなたの肩こりが解消されます」という風にして、自分の会社の枕を売りたいわけです。
しかしながら、肩こりと枕の因果関係はそれほど強くはありません。
実際に、肩こりがなぜ起こるかを見ていき、そこから考察してみましょう。
肩こりの5大原因
肩こりは厚生労働省の『国民生活基礎調査』でも、私たちが日常生活で自覚している症状のなかで、女性で1位、男性で2位に入るトップランカーの症状です。
そんな肩こりの原因ですが、主に5つに分類することができます。
長時間、肩がこりやすい姿勢でいる
アメリカでの研究結果では、1時間同じ姿勢でデスクワークをしたら最低10分休憩することで心疾患や首の痛みが出るリスクが激減すると出ています。
ちょっと想像してみてください。
5〜6kgのモノを一瞬だけ持ち上げるという行為と、あまり支えがないような状況、例えばボーリングの球を両手で持ち、腕は伸ばしたまま、腕全体が地面に平行になる角度で1時間そのままいるのと、どちらがしんどいでしょうか?
まちがいなく後者だと思います。
というか、多分1時間も無理です。
人間の頭の重さもちょうどボーリングの球くらいです。
肩がこりやすい姿勢(前のめりになっているなど)で長時間いたら、頭を支える首や肩の筋肉はすごく疲れてしまいます。
コロナ禍によるテレワーク(リモートワーク)で、さらにこの原因で受診される患者さんが増えました。
眼精疲労
姿勢と同様、テレワーク(リモートワーク)で増えた症状でもあります。
元々、人間の目は光に焦点を合わせるのは苦手です。
子供の頃、太陽を直視してはいけないと注意されませんでしたか?
それほど強い光でなくても、PCのモニターも発光しています。
目薬をさすだけでなく、1時間に1回程度、1〜2分でいいので目をつぶって疲れをリセットするのもいいでしょう。
ちなみに、コンタクトレンズは着用時間を守りましょう。
実はワンデイでも8時間程度です。
運動不足
筋肉は縮めたり伸ばしたりすることで血行がよくなります。
全身運動をすると、全身の血行がよくなります。
軽い肩こりであれば、ウォーキングやジョギングをするだけでも解消できるのです。
ストレス
首の筋肉の1部と肩こりで有名な僧帽筋という筋肉の1部は〝副神経〟という12個ある脳神経(脳から直接出ている神経)の12個目の神経が支配しています。
ストレスを感じると、脳も熱を持ち脳圧が上がった状態になります。
そのため、脳が直接支配している筋肉も緊張してかたくなってしまい、その結果肩こりを感じてしまうのです。
高血圧
本態性高血圧、という要するに原因がわからない高血圧の方の多くが肩こりを訴えられます。
その原因はわかっていないのですが、頸動脈にある血圧のセンサーの異常ではないか説があるので、そのセンサーの一がちょうど首の胸鎖乳突筋という筋肉のすぐ近くにあるため、その筋肉がかたくなってしまうのかも?とも言われいます。
実はこの胸鎖乳突筋というのは、先ほどのストレスの項目で書かせていただいた〝副神経〟が支配する筋肉。
ストレス過多と高血圧の関連も、このあたりから来ている可能性があります。
実際、昔の内科医の先生は、患者さんがめまいや頭痛を訴えてこられて、血圧を測って高すぎる場合はベッドに寝かせてこの胸鎖乳突筋を軽くもんで血圧を下げてから診察をしていたそうです。(こういうの、医者から医者に受け継いでもらいたいものですよね)
このように、枕というのは肩こりの原因になるには弱すぎるし、別の原因で肩こりになったものを枕で解消というのはかなり無理があるのをおわかりいただけたのではないでしょうか。
また、これらの原因が単独ではなく色々重なることで肩こりはさらにひどくなってしまいます。
コロナ禍で肩こりの患者さんが増えたのも、テレワーク(リモートワーク)が原因なのでしょう。
枕が合わないと感じてしまう理由
では、なぜ枕が合わないと感じてしまうのでしょうか?
それはデスクワークなどで、背中が丸くなってしまい、上むきに寝た際に丸くなった背中が伸びなくなってしまう、硬くなってしまっていることが原因かと思います。
例えば上向きに寝たとき、背骨も伸びるわけですが長時間丸い姿勢でいたことで伸びにくくなり、身体がゆがんでしまっていて枕の位置が自分が思っている位置と違うなどの認識と現実の状況とのギャップによって「枕が合わない」と感じてしまうのです。
ですので、枕が原因で肩こりになるということはありませんのでご安心ください。
西宮市まつむら鍼灸整骨院では肩こりは得意な症状の1つです。
現在も肩こりでお悩みの方がたくさん受診されております。
もし肩こりでお悩みで「枕を変えても肩こりが改善されない」などのお悩みがございましたら、ぜひ当院までご相談くださいませ。