【前編】ゴルフ愛好家のための熱中症予防法~治療家が教える夏ゴルフ準備完全ガイド~

こんにちは、西宮市のまつむら鍼灸整骨院院長の松村です。
実は僕、コロナ騒動の最中からゴルフを始めました。
その魅力に取り憑かれてしまって、暑い夏でも週1回ラウンドを欠かしません。
なので暑い夏でもゴルフのラウンドに行く気持ちはとてもよくわかります。
当院にはプロゴルファーの方や、僕と同じようなゴルフ愛好家の方々もたくさん来院されます。
夏場になると「先生、ラウンドするときの熱中症予防って何すればいいですか?」という相談をよく聞かれます。
せっかく楽しいゴルフ、暑くても安全に楽しみたいという気持ち、とてもよくわかります。
そこで、今回は2回シリーズで治療家としての専門知識と私自身のゴルフ経験を活かして、皆さんが安全に夏ゴルフを楽しむための熱中症予防法をお伝えしていきます。

 

前編の今回は「準備編」として、ラウンド1週間前からラウンド当日の朝までの準備について、詳しく解説していきます。

 

ラウンド1週間前からの準備

体調管理の基本を整える

睡眠リズムの調整

睡眠時間さえ確保しておけばいいと思われるかもしれませんが、実はこれが一番大切なんです。
毎日7-8時間の質の良い睡眠を心がけ、就寝・起床時間を一定にして体内時計を整えましょう。
寝室の温度は26-28度に保ち、熱帯夜対策を徹底することが重要になります。
質の良い睡眠は熱中症予防の基本中の基本です。
なぜなら、睡眠不足は体温調節機能を低下させ、その結果として熱中症リスクを高めてしまうから。

 

特に夏場は寝苦しい夜が続くものです。
しかし、エアコンを上手に使って睡眠環境を整えることで、体調管理の土台が作れるでしょう。

 

水分摂取習慣の確立

普段から十分な水分を摂取することで、体の水分保持能力を高めることができます。
実際に私も朝起きてすぐの水分補給を欠かしません。
まずは1日2-2.5リットルの水分摂取を習慣化し、起床後のコップ1杯の水から始めてみてください。

 

一方で、アルコールには注意が必要でしょう。
利尿作用により脱水を促進してしまうため、ラウンド前の週は特に控えめにすることをお勧めいたします。
患者さんによっては「え!1週間も断酒できない!」と言われることも。
そんな場合は「前日だけでもお酒を控えて早めに寝てください」とお伝えしております。

 

栄養バランスの最適化

ビタミンB群は暑さによる疲労回復に欠かせません。
また、適度な塩分摂取も重要で、汗で失われるナトリウムを補うために必要となります。

 

梅干しは昔から「夏バテ防止」と言われてきましたが、実は案外と根拠のあるものなんです。
夏野菜のきゅうりやトマト、ナスなどは体を冷やす効果があるので、積極的に取り入れることをお勧めします。

 

暑熱順化トレーニング

段階的な暑さ慣れ

暑熱順化という言葉をご存じでしょうか?
身体を暑さに慣らすことで、発汗機能が向上し体温調節能力も高くなるのです。

 

僕は週1回の筋トレ、週2回のゴルフ練習に加えて、週1〜2回はシャワーだけで済ませず長めにお風呂につかってしっかり汗を出すことを心がけています。
練習場での練習時間を徐々に延ばしたり、日中の暑い時間帯にも短時間の練習を行うことで、体を段階的に暑さに慣らしていけるでしょう。

練習場での準備

実際のラウンドと同じような条件で練習することで、当日のパフォーマンス低下を防げます。

新しいウェアや冷却グッズは事前に試用し、使用感を確認しておくと「思ったより冷えない」といった失敗もなくなるはずです。

 

 

ラウンド前日の準備

最終チェック項目

体調確認

体温が平熱より0.5度以上高い場合は、ラウンドの延期を検討すべきでしょう。
治療家として多くの症例を診させていただいてきた経験から申し上げると、軽微な体調不良であっても熱中症リスクは非常に高くなります。
「たった0.5℃くらい大丈夫でしょ?」と思われがちですが、これが命取りになることも少なくありません。
体温測定と睡眠時間の確保(最低6時間以上)、疲労感や体調不良の有無を必ずチェックしてください。

水分・栄養補給

前日の夕食は翌日のエネルギー源となるため、胃腸への負担を考慮した食事選択が大切です。
なるべく消化に良いものを選び、揚げ物や刺激物は控えめにして、炭水化物中心の食事が理想的でしょう。
アルコールは控えめに、できれば避けていただき、就寝前にコップ1杯の水分補給をお勧めします。

用具の準備

冷却グッズが正常に機能するか事前に確認しておきましょう。
スポーツドリンクの一部を凍らせておくとラウンド中の冷却効果も期待できます。

着替えは多めに用意しておくと安心でしょう。

ラウンド当日の朝

起床から出発まで

起床時の水分補給

夏場は寝ている間にも大量の汗をかいています。
起床時の水分補給は、身体を「水分補給モード」に切り替える重要なスイッチでもあるのです。
起床後すぐにコップ1-2杯の水で、寝汗により失われた水分を補給してください。

朝食の注意点

バナナは消化が良く、エネルギー補給と同時にカリウムも摂取できるため、夏のゴルフには最適な食材といえます。
私も朝食に必ずバナナを食べています。
炭水化物を中心とした軽めの食事に、バナナやオレンジなどの果物でビタミン・ミネラルを補ってください。
コーヒーについては利尿作用で脱水が進みやすくなるので、ラウンド当日の朝だけでも控えめにしておいてください。

出発前チェック

この段階で体調に少しでも不安がある場合は、勇気をもってラウンドを見送ることも大切です。
「せっかく予約したのに・・・」という気持ちもよくわかりますが・・・・命あってのゴルフですので、キャンセルする勇気も必要かと思います。
体温測定と体調確認、日焼け止めの塗布(SPF30以上推奨)、帽子の着用確認は必須です。

 

ゴルフ場到着から練習まで

到着後の準備

ゴルフ場到着後は、まず涼しい場所で体を落ち着かせることが重要です。
急に暑い屋外に出ると体がショックを受けやすくなるためです。
更衣室で涼しい服装に着替え、練習前に200ml程度の水分補給、軽いストレッチで体をほぐしてから外に出てください。

練習時の注意

練習段階から熱中症のリスクはあります。
いつもより短時間で切り上げて、体力を温存してください。

練習時間は通常より短めに設定し、日陰を利用してこまめに休憩を取り、汗の量と体調をチェックすることが大切です。

ゴルフに最適な服装選び

基本的な服装選択

シャツ選び

「暑いから半袖」というのは実は危険なんです。
直射日光による体温上昇を考えると、UVカット機能付きの長袖シャツの方が体感温度を下げてくれます。
患者さんにもよく説明させていただくのですが、多くの方が「え?そうなんですか?」と驚かれます。
実際に試していただくと、「本当に涼しいです」と言っていただけるんです。
おすすめは吸湿速乾性に優れたポリエステル素材で、UVカット機能付き(UPF30以上)のものでしょう。
色は白や淡い色を選んで熱を反射させましょう。

パンツとアンダーウェア

パンツは通気性の良い素材(ポリエステル、ナイロン混合)でストレッチ性があり動きやすいものを選び、色は明るい色を選択しましょう。最近の冷感アンダーウェアは本当に優秀になっています。
私も愛用しておりますが着用するのとしないのとでは体感温度が全く違います。
冷感素材のコンプレッションウェアで、汗を素早く吸収・拡散する機能、抗菌・防臭効果があるものを選ぶと快適にプレーできるでしょう。

小物・アクセサリー

帽子やキャップはつばが広く首筋まで覆えるもので、通気性の良いメッシュ素材、汗止めバンド付きのものがおすすめとなります。サングラスはUVカット機能(UV400以上)、偏光レンズで眩しさを軽減、軽量で長時間着用しても疲れないものを選びましょう。
手袋・グローブは両手用で日焼け防止、通気性とグリップ力を両立したもの、指先カットタイプで細かい作業もできるものが便利でしょう。

準備すべき用品

水分補給と補給食品

基本の飲み物として、スポーツドリンク1.5-2リットル、経口補水液500ml×2本、水1リットル、氷を多めに準備(飲み物冷却用)しましょう。
補給食品には塩分タブレット、エネルギーゼリー、バナナなどの果物、塩昆布やおにぎりなどを用意しておくと安心になります。

冷却グッズと暑さ対策

即効性のある冷却用品として、冷却タオル(水に濡らすと冷たくなるタイプ)、冷却スプレー、氷嚢(首や手首用)、可能であれば冷却ベストも効果的でしょう。
その他の暑さ対策グッズとして、携帯扇風機(首掛けタイプ)、大きめのタオル(複数枚)、着替え用のシャツ(最低2枚)、制汗スプレーなどを準備しておきましょう。

緊急時対応用品

体調管理用品として体温計、血圧計(可能であれば)、常用薬、保冷剤を用意します。
応急処置用品には救急セット、日焼け止め(塗り直し用)、虫除けスプレー、絆創膏なども忘れずに。

治療家からのアドバイス

準備段階での注意点

当院でも、夏場のゴルフ前後に体調相談で来院される患者さんが多くいらっしゃいます。
特に準備段階で注意していただきたいのは以下の点になります。

無理なダイエットは厳禁

「夏だから痩せたい」という気持ちもよくわかります。
しかし体重を急激に落とすと、体内の水分量も減って熱中症リスクを跳ねあげてしまうため、本当に危険なんです。
ラウンド前の急激な減量は避け、適切な栄養摂取を維持し、体重より体調管理を優先してください。

 既往症のある方の特別な注意

特に血圧のお薬を飲まれている方は、脱水による血圧変動のリスクがあります。
必ず主治医の先生に相談してからゴルフを楽しんでください。
高血圧、糖尿病、心疾患のある方は主治医と相談し、服用薬の影響を理解しておき、緊急連絡先を必ず携帯しましょう。

年齢による準備の違い

40代以降の特別な準備

40代を過ぎると、どうしても体温調節機能が低下してきます。
「昔は平気だったのに…」という声をよく聞きますが、加齢とともに身体の色々な機能が低下してしまうのは避けられません。今の体力を基準に準備することがとても大切になります。
体温調節機能の低下を考慮した準備期間の延長、より念入りな体調チェック、過去の経験より現在の体力を基準とした判断が必要でしょう。

まとめ

前編では、夏ゴルフを安全に楽しむための準備について詳しく解説しました。
準備の質が、当日の安全性と快適性を大きく左右します。
特に重要なのは、1週間前からの段階的な準備になります。
急に対策を始めるのではなく、体を徐々に夏モードに切り替えていくことが成功の鍵となります。
「めんどくさい!」と思われるかもしれません。
しかし、これらの準備をしっかりとしていただくことで、安全に、そして最後まで集中力を保ってゴルフを楽しめるようになるはずです。
次回の後編では、「実践編」として、ラウンド中の具体的な熱中症対策とラウンド後のケアについて詳しくお伝えします。
もし夏場の体調管理やゴルフ後の疲労回復についてお困りのことがありましたら、一度ご相談いただければと思います。
ゴルフを愛する治療家として、皆さんが安全にゴルフを楽しめるように、しっかりとサポートさせていただきます。
まつむら鍼灸整骨院
院長 松村正隆