ギックリ腰注意報〜ギックリ腰の前兆サインと予防法とは〜

兵庫県西宮市まつむら鍼灸整骨院の松村です。

早いもので、12月となりました。
今年は10月まで暑かったので、急に寒くなって急に年末になってきた感じですね。

急な気候の変化で体調を崩されて来院された患者さんも非常に多かったです。

さて、今回はギックリ腰について。
12月〜1月は毎年ぎっくり腰で来院される患者さんが増えます。

そこで今回はギックリ腰の原因と前兆のサイン、そしてその予防法について紹介させていただきたいと思います。

 

ギックリ腰の本当の原因

2025年11月現在(調べた時点)の最新かつ信ぴょう性の高い世界中の医学論文を調べた結果、よく書いてあるような靭帯(じんたい)や筋肉の損傷と言い切ることは不可能でした。

発生時刻に多いのは午前7時〜正午まで。
発生するトリガーとして多いのは、前屈・ねじり等の不良姿勢、重量物の挙上、疲労・注意散漫。
特に疲労による注意力散漫でリスク増加となります。

重量物挙上は年齢とともにリスクが減り(重量物を持つ機会が減る)、20歳と60歳では3倍の差があります。

画像初見、すなわちレントゲン検査やMRI検査の結果と痛みはほぼ因果関係がない、しかしまったくないとも言い切れない・・・

すなわち、あんまりわからないという結果が出ています。

そのような中、科学的にはまだわかっていないけれども、昔の整体の名人、達人たちがよく言っていたギックリ腰の原因が僕にはとてもしっくりきます。

それは

「ギックリ腰は地震と同じ。身体の歪みがひどくなりすぎて、身体が自分で真っ直ぐに戻そうと頑張っていて、何かのきっかけで急に戻ってしまい、その際に硬くなっていた筋肉や関節が急激に引っ張られて小さな損傷が起こる」

という説です。

僕自身、修業時代からカウントするともう30年臨床を積んできて、その30年でもう何万人というギックリ腰患者さんの身体を施術しましたが、その説が一番しっくりくると思います。

 

 

なぜ強烈に痛いのか?

画像初見(レントゲンやMRI)では映らない程度で、映せないくらい微小な損傷〝だけ〟なのに、なぜこれほど痛むのか?

実はこれは、腰部あたりの靭帯や筋肉は痛みを感じる受容器が豊富に存在します。
要するに痛みを感じやすいということがあります。

さらに、不安やまた痛くなるんじゃないかという予測(専門的には期待と表現します)は痛み自体を大きくすることがわかっています。

さらに睡眠不足は痛みを増幅させることもわかっています。

すなわち、身体がむちゃくちゃ歪んだ状態→要するに疲れが取れず回復しにくい状態で仕事等で忙しくして寝不足で、過去にギックリ腰で大変な経験をした人ほど、ギックリ腰のトリガーとなる動きをしてギックリ腰になった際にむちゃくちゃ痛くなると言えます。

実際、「初めてのときはこれほどひどくなかったのに」と受診時に言われる患者さんは非常に多いです。

 

 

 

 

ギックリ腰予防3策

策①:身体の歪みを取る

子供の頃からよほど理想的な生活(足の捻挫をしたことがなく、子供の頃から歪みがあればすぐに整え、左右均等に筋肉が発達し、歪みが出るであろうこと・・・ゴルフやテニス、技術職等はせず、長時間座りっぱなし、長時間立ちっぱなしになることがない・・・等)をしない限り、人の身体は歪みます。

過去、に足首の捻挫をした方はそれが原因で必ず身体が歪みます。
精神的ストレスでも同様です。

なので、ギックリ腰を引き起こすほど歪む前に、我々プロに歪みを取ってもらうというのは有効な手段です。

問題は、本当の歪みを診ることができる治療家が少ないことですが、こちらの動画を参考にしていただけましたらいいかと思います。

 

策②:トリガーとなる動きを控える・注意する

前屈、身体のねじりがトリガーになることが多い動作です。
しかも多くは朝7時〜正午までに起こるとされています。

朝、顔を洗う。
朝、会社について床に落ちたペンを拾う。

色々な状況がありますが、午前中に気をつけておくことでかなりの予防ができるでしょう。

 

策③:睡眠時間を確保する

睡眠不足はギックリ腰になるリスクを増大させるので、睡眠時間の確保は必須です。
とはいえ、仕事から帰宅し、家のこと、家族のケア等をしてすぐに寝る・・・なんて1日が面白くないです。

ついつい寝る前にスマホでYouTubeを見たりちょこっとゲームをしたり・・・となりがちです。

たとえばiPhoneならNight Shiftというモードがあります。
これは、モニターのブルーライトを減らし暖色系の色にすることで、睡眠モードに入りやすくするというものです。

一定時刻になると、Night Shiftモードに自動的に切り替わるように設定しておくことで、スマホを見ていても興奮して寝付けないということが減るでしょう。

ちなみに僕は夜12時になれば勝手に切り替わるように設定しています。

また、人間は体温が下がっていくときに眠くなります。
お風呂に入る、シャワーなら長めに浴びる等で一旦体温を上げて、下がる前に布団に入ることで入眠しやすくなります。

睡眠時間6.5時間以下や交代勤務(看護師や地域課の警察官のように夜勤がある)でギックリ腰発症リスクが高くなるというデータもあります。

交代勤務の方は、さらに①と②に留意しつつ、睡眠時間を確保できるときにしっかり確保することが大切になります。

また、睡眠不足はそれそのものが痛みを増幅させることもわかっています。
一晩断眠するだけで起こりますので、慢性的な睡眠不足は痛みを感じやすくしてしまいます。

 

 

もしギックリ腰になってしまったら・・・

世の中に絶対はありません。
予防策をしていてもギックリ腰になる可能性を減らすことはできても、100%大丈夫というわけではありません。

そこで、もしギックリ腰になってしまった場合の対処法について紹介させていただきます。

 

①日常生活動作くらいは痛みを我慢してでもおこなう

安静にしなければならない・・・は、過去の話。
科学的には中等度の運動、すなわちウォーキング、エアロバイクレベルの運動はしてもいいというデータが出ています。

また、動いたほうが早く回復することもわかっています。

どうしても辛い場合は、発症したその日は安静にしてもいいですが翌日からなるべく動くようにしてください。

 

②焦って治療しなくてもいい

治療院や病院のサイトやブログを覗くと「ギックリ腰になったら、放置してひどくなったらいけないのでなるべく早く受診を!」と書いてることが多いです。

あれ、嘘八百です。

ギックリ腰の予後は良好。
放置しても1週間くらいでかなりマシになりますし、2週間もすればもう治ってることが多いです。

ギックリ腰の場合の僕たちの役割は、その1、2週間を短縮させることであり、治らない厄介な症状を治すということにはなりません。

すぐに治療院に駆け込まなくても治らなくなる、癖になるということなどありません。

そう書いてあったり、そう言ったりしてるのはすべてセールストークですのでご安心ください。

 

③痛み監視をやめる

ギックリ腰になると「あ、この動作がまだ痛い」「あ、ここがまだ痛む」などの痛みの監視をしてしまいがちです。

先述したように、ギックリ腰はその損傷の大きさと痛みが釣り合わない珍しい症状です。
さらに、メンタル的要因が痛みを増幅させます。

安心してください、ギックリ腰の予後は良好です。
今は痛くても痛みは消えていくので、痛みで損傷がひどくなるということは一切ありません。

 

 

まとめ

ギックリ腰は、そのほとんどが午前中に

トリガーとなる動作+個人それぞれの原因(過労や睡眠不足、精神的ストレス)

が原因で起こります。

午前中に前屈みになる、身体をねじるという動作を行う際は十分に注意しつつ、身体のコンディションを整えることでかなり予防できます。

12月〜1月は年末年始に向けてお仕事も忙しくなるし、忘年会、新年会シーズンで食べ過ぎ飲み過ぎで胃腸の調子も悪くなり、さらに睡眠不足になるというパターンが定番です。

ギックリ腰リスクを減らし、年末年始のお休みを快適にすごすためにもぜひとも身体のコンディションを整えるようにしてみてくださいね。