スポーツコンディショニングの基本

こんにちは、兵庫県西宮市のまつむら鍼灸整骨院院長の松村です。
さてさて、今回は全アスリートに向けてお伝えしておきたいことを書かせていただきたいと思います。
選手に限らず、趣味であっても何かスポーツを結構ガッツリやっておられる場合もしっかりお読みいただければと思います。

THE根性論!な時代

私自身柔道をやっていて、コンディショニングには頭を悩ませていました。
私が高校生の頃は根性論全盛期でしたので、夏に「水を飲むな」は当たり前でしたし、体罰(を超えた暴力)、先輩からのイジメなど、今なら本当に年間何人死人が出るかわからない環境の中で柔道をしていました。

入学後たった1週間で-13kg

私の場合は、中学生の頃にすでに187cm、85kgほどあったのですが、柔道を始めたのは中学2年生になってから。
小学校低学年から柔道をやっていた人たちとは違い、高校に入る頃にはまだ柔道用の身体が出来上がっていなかったのです。
にも関わらず、当時エグい学校に入ってしまいました。
高校に入学して練習のキツさとイジメのストレスからか食っても食っても体重が減っていき、72kgにまでなってしまい、その後高校2年生で80kg近くにはなったものの全然体重が増えない、練習も筋トレもしてるのに全然筋肉がつかない、もちろんパワーもつかない、だから試合でも勝てないと、唯一成果が出たのは50m走と1500m走のタイムが伸びただけという状況でした。(ちなみに高校三年生でようやく92kg、今は100kgオーバー 笑)
1年生の頃は、朝練開始時間ギリギリに行くと怒られるので、早く行かないといけません。
しかし私だけ一部の先輩から「朝練の1時間前に道場来とけ!」とか言われてました。
まあその先輩がその時間に来るわけがないので、さすがに1時間前に行くことはなかったですがそれでも同じ一年生より早く道場に着いていないとチクられたら終わりですので、結構早めに行ってたんですね。

オーバーすぎるオーバーワーク

朝はいつも5時半起き。
放課後の練習はだいたい19時過ぎに終わりますが、そこから「セッキョー」という名のイジメやパシリで30分〜1時間。
それから道場の掃除。
高校から自転車で帰宅するのですが、しんどすぎて速く漕げない。
遅いときは帰宅が21時をすぎることも。
それから晩ご飯を食べて風呂に入ってすぐに寝る。
23時に寝ても、睡眠時間は6時間程度しか取れません。
今ならわかるんですよね。
私の場合はロングスリーパーなので、6時間じゃ足りないんですよ。
それに当時はアホみたいに身体も心もイジメてたわけです。
リカバリーに時間が必要。
にも関わらず、「お前、明日から1日10回絞めて落としたる」と言われ、練習中だけだとさすがに10回無理だったので、練習後はもちろん、授業の合間の休み時間に襲撃され教室で絞めて落とされたりしていました。(同級生ドン引きしてました)
耳は寝技の練習中に、3年生にアキレス腱固めを両足に決められ、腕ひしぎ十字固を両腕に決められ、5人目の先輩にマウントポジションを取られて肘打ちで潰される、ということもあり、生き地獄のような毎日で、身体にも精神にもダメージを負い続けておりました。
よく考えると、
睡眠不足、オーバートレーニング、多大な精神的ストレス・・・
年中、最悪なコンディションの中で柔道をしていたわけです。
それらが原因だからか、高校1年生の頃はよく風邪をひいて発熱したり、急性胃炎になったりしていましたし、毎朝下痢でした。
そりゃ強くならんよ・・・、風邪ひいても休めないし。
その点、今は指導者の体罰もなくなり、先輩からのイジメも大問題になるため良い環境だと思います。
もちろん私の母校の柔道部も、今は本当に驚くほど健全です(笑)
今ならもう一回高校生に戻ってもいいと思うほどですから。

未だあいまいなコンディショニングの情報

しかし、そんな健全な環境でスポーツに打ち込める状況であるにも関わらず、まだまだ「スポーツコンディショニングと言えばマッサージを受ける」「サプリメントを飲む」くらいの認識の選手もいます。
オリンピック競技のメダル量産種目のトップの選手なら専門の講習も受けられますし、野球やサッカーなどのメジャー競技のトッププロなら専門家を雇用することもできるのですが、マイナー競技になると、その競技のトップ選手でも「え?そんなことも知らんの?」ということが多々あります。
そこで今回は、スポーツコンディショニングの基礎について書かせていただきたいと思います。
少し難しい部分もあるかと思いますが、なるべく簡単に、基礎中の基礎の部分だけを書かせていただきたいと思います。
選手(アスリート)だけでなく、趣味レベルでもガッツリと大会に出場されるようなスポーツ愛好家の方もお読みいただければと思います。

スポーツコンディショニングの3つのポイント

コンディショニングは、試合でのパフォーマンス発揮や、練習中のケガの予防、練習(トレーニング含む)効果の向上を目的に行うことが多いですので、そのために必要な3つのポイントを紹介させていただきます。

①自己分析

まず必要なのは、自分を知ることです。最低限知っておいたほうがいい4つの要素に絞って書かせていただきます。

体重


自身のベスト体重(一番動きやすい、一番キレがいい、一番パワーが出るなど)は何kgかを把握しておくことで、体重管理がしやすくなります。柔道やボクシングのような階級制のスポーツなら、何kgまでの減量ならさほどパフォーマンスが落ちないかを把握しておくことも大切です。
野球やサッカーなど、体重制限がない競技であっても、体重が競技スタイルに影響することが明白なので、自身の体重を知ってウエイトコントロールしておかければ、良いパフォーマンスを出し続けることは難しいでしょう。
事実、イチローの体型はあまり変わっていませんが、イチローより年下でブクブク太っているプロ野球選手も存在しますが、どちらの選手のほうがパフォーマンスが上か、は言わずもがなです。

睡眠


どれくらいの睡眠時間を取れば前日の練習の疲れが抜けるか、を把握しておくと生活リズムが作りやすくなります。
逆に、どれくらい睡眠不足になると明らかに調子を崩すかも記録しておきましょう。
最良を目指すことも重要ですが、最悪を避けることも必要です。

食事&サプリメント


どのタイミングで何を食べればいいか、食事だけでは足りない栄養は何なのか、を把握することで、ある程度低コストで栄養バランスが整った食事が可能になります。
高校生、大学生くらいなら「とりあえずたらふく食う!」でいいと思いますが、大人になれば食事に気をつけていかなければなりません。
サプリメントに関しては、ついこの前に水泳選手のニュースが出ましたが、海外製のサプリメントはたまにドーピング検査に引っかかる成分が入っていることがあります。
サプリメント自体には入ってないはずのものでも、製造過程の工場のラインで微量ではありますが混入してしまうケースがあるようです。実際、最近の海外のサプリメントは「混入してる場合責任持てないから自己責任で飲んでね」って感じの注意書きをしているものもあります。身体に害はない微々たる量ですので健康被害はないでしょうけど、ドーピング検査を受ける可能性のある競技レベルの選手は日本製のサプリメントを活用したほうがいいです。
サプリメントは、いきなり色々服用するのではなく、食事だけでは絶対に補えないビタミンとミネラルを摂取することから始めるといいと思います。
「どのメーカーのどの種類が自分には合う」ということがありますので、同じマルチビタミン、マルチミネラル、プロテインやBCAA、グルタミンなどでも色々なメーカーを試されることをお勧めします。

身体の特性を知る


人の身体というのは千差万別です。
自身の身体の特性によって行うトレーニングも違ってきますし、競技スタイルも変わってくるはずです。
ですので、瞬発系なのか持久系なのかといったざっくりしたものだけではなく、関節の可動域、四肢左右の筋力バランス、筋肉別の柔軟性、ウィークポイント、強みを把握しておくことが重要です。

②コンディショニングの実践

自身の分析が終わったらコンディショニングの実践です。
億超えプレーヤーなら、専属の栄養士やトレーナーを雇用して実践するのもありですが、プロ選手と言えどもそこまでできるのはメジャー競技の中のほんの一握りの選手でしかないでしょう。
しかし、寝る時間を決めたり、酒を飲むか飲まないか、菓子やインスタントを食べるか食べないかは自分次第。
やはり全てにおいて自分で実践していかなければならないでしょう。

③コンディショニングを継続する


コンディショニングというのは、一度やってはいおしまい、ではありません。
現役でいる限り、コンディショニングし続けなければなりません。
ということは、コンディショニングで実践するべきことを「人に任せること」と「自分で実践すること」にわけて、自分で実践することは、なるべくシンプルにして、毎日続けられるようにカスタマイズする必要があるでしょう。
ただ、自分にとっての「やりやすくて効果的なルーティン」を見つけるまでは色々と試してみてください。
身体の治療的な部分は、ストレッチやフォームローラーを使った筋膜リリース系などは自身でできますが、ケガの治療だったり、腱鞘炎を筆頭としたいわゆるスポーツ障害系の治療だったりというのは、我々プロに任せたほうがいいでしょうし、それ以外でも「明らかに専門家に相談しないとわからない」というものに関しては自分だけで悩むよりも専門家を活用したほうがいいでしょう。

まとめ

スポーツコンディショニングは、アスリート自身が目的、目標を達成するために実践し続けることであり、一流と言われるアスリートほど、こういうことを毎日、オンシーズン、オフシーズン関わらず上手にやっています。有名なイチロー選手は、毎日同じルーティーンをこなすことで、どこかに些細な違和感を感じることができるからすぐに修正が効くということを言っていました。
スポーツコンディショニングとは、

①自身の状態を把握し

②良いコンディションになるため(良いコンディションをキープするため)の自分の特性に合った方法を見つけ

③実践し続ける

ことです。

その競技「だけ」をしているプロ、プロではないけれど、プロ的状況で競技をしている実業団選手なら、徹底して実践することでパフォーマンスも上がることでしょう。

選手としての評価を上げるだけでなく、競技レベルそのものの向上、ファン獲得にもつながることでしょう。
「趣味だけど、結構ガチで・・・」という方は、お仕事や家庭のこともありますので、できる範囲だけでいいのでコツコツと実践し続けてみてください。
タイムがよくなったり、良い調子で試合に出られたりするはずです!
さて、次回はスポーツコンディショニングに我々治療家をどう活用するかについて書かせていただきますのでお楽しみに♪

(柔道整復師・鍼灸師 松村正隆 監修)

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