こんばんは、西宮のまつむら鍼灸整骨院の松村です。
今日な七夕ですね〜。
七夕はなぜか雨が多いですね〜
ちなみに10月10日、旧体育の日は晴れが多いそうです。
さてさて、今回は画像検査についてちょっと書かせていただきます。
というか、「画像検査って何?」って方も多いと思います。
レントゲンやMRI、CT、マンモグラフィーと言ったものが主ですね。
接骨院・整骨院ではこれらは撮影できないので、エコー(超音波)で検査することもあります。
実は先進国を比較しても、レントゲンやCTといった画像検査数は、日本がダントツで多いんです。
日本の医者はカメラマンなのでしょうか?
当院にはギックリ腰(急性腰痛)や、慢性腰痛、肩こりや手の痺れ等にお悩みで受診される方が多いのですが、その際によく
「ちょっと怖いから、レントゲンだけ撮っておいた方がいいでしょうか?」
と聞かれることや、
「痛かったんでとりあえずレントゲン撮って、背骨と背骨の隙間が狭くなってると言われました」
などをおっしゃっる方が多いです。
手や足が痺れていたら、
「MRIを撮って、頸椎のヘルニアだと言われました」
とか
「腰のヘルニアだと言われました」
とか
「背骨が変形してるって言われました」
という診断をされてしまった方も多く来られます。
中には、手術を強く勧められ不安を感じて当院に受診されたという方もおられます。
そういうお悩みの方々が当院に受診され、そして回復していきます。
これは、当院が凄いということではなく、正しくアプローチすることができる院であれば、痛みや痺れが無くなるまでの期間に差があったとしても、同じ結果が出ていると思います。
では、鍼灸治療や整体治療で、潰れた椎間板が元に戻ったり、変形していた背骨が元の形に戻ったりして、痛みやしびれがなくなっているのでしょうか?
実はそうではないのです。
そこで、世界の研究論文を紹介させていただきながら、解説していきたいと思います。
レントゲン検査はほとんど必要なし
腰痛患者100名と健常者100名を対象に腰部X線写真を比較した研究では、両群間の腰仙移行椎、脊椎辷り症、潜在性二分脊椎、変形性脊椎症の検出率に差は認められなかった。http://1.usa.gov/lCMbXb
腰痛患者200名と健常者200名のX線写真を比較した結果、脊椎辷り症、腰仙移行椎、潜在性二分脊椎、椎間狭小、変形性脊椎症、脊柱側彎症、前彎過剰、前彎減少、骨粗鬆症、シュモール結節、圧迫骨折、骨盤傾斜の検出率に差はない。http://1.usa.gov/jb0ly3
18~50歳までの腰痛患者807名と健常者936名を対象に、腰部X線撮影で脊椎分離症の検出率を比較した結果、腰痛患者群は9.2%、健常者群は9.7%だった。http://1.usa.gov/j2Jw5a
世界では、このような研究結果が出ております。
その辺に歩いている、腰痛じゃない人を捕まえて腰のレントゲンを撮っても、何かしら異常(そもそもこの異常という定義がおかしいのですが)が見つかるということになります。
レントゲン検査で、すべり症や分離症、背骨と背骨の間が狭くなっている、姿勢が悪い等はそもそも痛みや痺れの原因ではないということになります。レントゲン上での異常は、いわゆる老化現象ですので、お肌のシミやシワと同じですので、全く心配する必要はありません。
ヘルニアは痺れや痛みの原因ではない
20~80歳までの腰痛未経験者67名を対象にMRIで腰部椎間板を分析した結果、21~36%に椎間板ヘルニアが、50~79%に椎間板膨隆が、34~93%に椎間板変性が確認されたことから、手術の選択は慎重にすべきと結論。http://1.usa.gov/knGWuH
椎間板ヘルニアと診断された強い腰下肢痛を訴える患者46名と、年齢、性別、職業などを一致させた健常者46名の腰部椎間板をMRIで比較した結果、健常者の76%に椎間板ヘルニアが、85%に椎間板変性が確認された。http://1.usa.gov/iN3oKG
2つ目の研究論文は国際腰椎学会でボルボ賞を受賞した有名な研究です。椎間板ヘルニアがあったり椎間板が潰れていたりしても腰痛や足のしびれが出るとは限らないということです。
ヘルニアの原因は遺伝子であることが判明
男性の一卵性双生児115組を対象にMRIで椎間板変性を促進させる危険因子を調査した結果、椎間板変性は仕事やレジャーによる身体的負担、車の運転、喫煙習慣といった物理的因子より、遺伝的因子の影響を強く受けていることが判明。http://1.usa.gov/kWg7Iw
これも国際腰椎学会でボルボ賞を受賞した研究です。
椎間板変性やヘルニアは遺伝子によって決められているもので、他のどのようなことも原因ではないということです。
画像検査が回復を遅らせている
腰痛患者421名をX線撮影群と非撮影群に割り付け、9ヶ月間にわたって追跡調査した結果、非撮影群に比べるとX線撮影群は痛みの持続期間、活動障害、健康状態の成績が悪く、受診回数も多かった。http://1.usa.gov/ihdsPJ
このような研究論文も存在します。
画像を見てしまうことで「あ、私は骨が変形してるから痛いんだ」と思い込み、脳が痛みを感じ続けるということになります。
画像検査が必要な場合
とまあ、ここまで書かせていただきましたが、ほとんどの場合画像検査の必要がないということはご理解いただけたと思います。
しかし、画像検査が全く必要ないというわけではありません。
「転移性脊椎腫瘍」「脊髄・馬尾腫瘍」等、ガン関連、「化膿性脊椎炎」「椎体骨折」「解離性大動脈瘤」「強直性脊椎炎」「閉塞性動脈硬化症」「馬尾症候群」など命に関わる、もしくは迅速に適切に処置しなければ重篤な後遺症等が残る可能性が考えられる場合は、画像検査の必要があります。
世界の腰痛ガイドラインでは、そのような疑いのない場合は画像検査は推奨していません。
先進国で、日本だけがパシャパシャ撮影しまくっているということになります。
では、どのようなところをチェックすれば、画像検査が必要かどうかわかるのでしょうか?
実はチェック項目があります。
- 発症年齢が50歳以上
- 徐々に痛みを感じるようになった
- ひどいケガ(高所からの転落は交通事故等)をしてから腰痛になった
- 絶え間ない痛みが徐々に強くなる(夜間痛、楽な姿勢や動作がない)
- がんになったことがある
- 全体的に身体の調子が悪い
- 原因不明の体重減少がある
- 胸が痛い
- 糖尿病がある
- 腰の手術を受けたことがある
- 尿道カテーテル留置、静脈注射の乱用、HIV陽性
- 尿路感染症になったことがある(腎炎、膀胱炎、尿道炎)
- ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)や免疫抑制剤を使っている
- 背骨を叩くと激痛がある
- 身体が変形している
- 発熱している
- 腰痛で前屈できない状態が三ヶ月以上継続している
- 尿が出ない、便失禁がある、肛門や会陰部の感覚がない
となっております。
しかし、ひとつふたつ当てはまるから必ず画像検査が必要というわけではありません。
もしそうなら50歳以上の方全員画像検査しないといけなくなってしまいますので。
数個チェックがある場合などは必要かもしれません。
また、馬尾症候群の際に出る、膀胱障害(尿が出ない、残尿感、尿失禁)、直腸障害(便失禁)、会陰部や肛門の感覚麻痺、歩行時に外陰部のほてりや灼熱感(女性)、陰茎の勃起(男性)が出る場合は、すぐに脊椎外科を受診し、しかるべき検査治療を受けるべきでしょう。
脊椎外科医をお探しの際は、日本脊椎脊髄病学会のサイトにアクセスし、指導医リストから最寄りの病院、医師をお探しいただき、なるべく早く受診するようにしましょう。
もし上記チェック項目で年齢以外あまり当てはまらないようでしたら、重大な病気が隠れている可能性はほとんどないと言っても過言ではありませんのでご安心ください。
無駄に病院でレントゲン撮影などを受けなくても、適切な治療を受ければ必ず良くなります。
日本脊椎脊髄病学会
http://www.jssr.gr.jp