腰痛のときは「動いたほうがいい」って聞いたのですが本当ですか?よけいに悪くなりませんか?

こんにちは、西宮市のまつむら鍼灸整骨院の松村です。
NHKの「ためしてガッテン」で腰痛のことが放送されてから、よくされる質問が

「腰痛が動いたほうがいいってテレビで言ってたけど本当ですか?」

というものです。
確かに、つい最近まで病院では安静指導ばかりしていたので、一般の方々からすると戸惑うことが多いですよね。
今回は、この質問に対して書いていきたいと思います。

そもそも、なぜ腰痛になるの?

腰痛の85%は医学的に原因不明と言われています。
腰痛の患者さまに画像検査(レントゲンやMRIなど)をしても、8割以上は「異常なし」と診断されるということになります。
また、ヘルニアや脊柱管狭窄症、腰椎の変形等も世界の医療先進国の研究では腰痛と関連性はないという科学的な証明がされています。
となると、いったいなぜ腰痛になるのか?というところが疑問になってきます。
長年臨床に携わり、のべ人数は15万人以上の経験を基にして言わせていただくと、身体の左右の対称性が崩れすぎて、それが長期間続いてしまって腰痛になるという場合がほとんどです。
例を出すならこんな感じです。

見えにくいですが、青色の縦線が正中なのですが、顔の位置はかなり右に寄っています。
人それぞれ身体の崩れ方は異なりますが、このような状態になることで腰痛が引きおこされるのです。
身体全体をしっかり観察しないとわからない部分ですので、どうしても病院では苦手な分野になります。
ですのでいつまでも原因不明、ということになってしまうのです。

腰痛は動かしたほうがいいってホント?

これに関しては本当です。
「そんなこと言っても、急に痛くなるギックリ腰と慢性的に腰が痛いのとは違うでしょ?」
そう思われるかもしれません。
そこでまずは世界中の研究結果を紹介させていただきます。

ギックリ腰(急性腰痛の場合)

■急性腰痛患者186例を対象としたRCT(ランダム化比較試験)によると、安静臥床群、ストレッチ群、日常生活群のうち、最も早く回復したのは日常生活群で、最も回復が遅かったのは安静臥床群だった。腰痛に安静第一は間違い。むしろ回復を妨げる。http://1.usa.gov/mOolz9
■急性腰痛患者203名を対象に2日間の安静臥床群と7日間の安静臥床群を比較したRCT(ランダム化比較試験)によると、3週間後の欠勤日数は2日間の安静臥床群の方が45%少なかった。急性腰痛に対する安静臥床は欠勤日数を増やすことが証明される。http://1.usa.gov/jFHMqM
■安静臥床に関する39件のRCT(ランダム化比較試験)をレビューした結果、安静臥床によって改善が認められた研究はひとつも存在しない。http://1.usa.gov/in85AR

ちょっと専門用語が多いのでわかりにくいかと思います。
要するに、ギックリ腰(急性腰痛)のときに「痛くなくなるまで家で安静にしてなさい」と指導すると、ギックリ腰(急性腰痛)の治りが悪くなるという研究結果です。
なんと世界では1990年代からそう言われており、日本の整形外科がどれだけ世界から遅れているかが露呈しているものとも言えます。

慢性的な腰痛の場合

さて、日本ではつい最近まで慢性腰痛に関しても病院にいくと「老化現象」だとか「腰に負担をかけないで安静に」と指導されていました。しかし他の医療先進国では・・・

■腰痛に対する運動療法をテーマとした11件のRCT(ランダム化比較試験)をレビューした結果、亜急性腰痛(6週~3ヶ月未満)や慢性腰痛(3ヶ月以上)には運動療法が有効であることが判明。http://1.usa.gov/qL98sH

このように、単に安静にしないだけでなく運動をするほうがいいということが科学的に証明されています。

このように、腰痛の場合は動いたほうがいいということは明白なのです。

でも不安、どこまで動かして大丈夫なの?

いくら科学的に証明されてると言っても、痛いのに動いて本当にいいの?と思われる人は少なくありません。
慢性腰痛の場合はまだしも、ギックリ腰(急性腰痛)の場合はなおさら恐怖心があるかと思います。
そこで、ギックリ腰(急性腰痛)の場合と慢性腰痛の場合にわけて、どれくらい動かしていいかを説明させていただきます。

ギックリ腰(急性腰痛)の場合

ギックリ腰(急性腰痛)になった場合は、日常生活程度です。
よほどひどくて動けない場合は無理する必要はありません。
しかし、痛みを我慢して動けるのなら、家事や仕事に行くというのはとても大切になります。
筋トレやスポーツなどは痛くてできないとは思いますが、そのような激しいことをすると悪くなるというデータもありますので、できる範囲のことをゆっくりやる、という感じでいいかと思います。

慢性腰痛の場合

慢性腰痛の場合は、基本的にスポーツをしていただいて大丈夫です。
もちろん、今までスポーツをやっていなかった人がいきなりスポーツをすると、筋肉に負担をかけて筋肉痛のような症状が出ることもあります。
しかし、慣れてくるとそんなこともなくなります。
ウォーキングからでもいいので、積極的に身体を動かすようにすることで、腰痛は改善していくかと思います。

安心して身体を動かすために

「医者から安静にしろ、腰に負担をかけるなと長年言われ続けていて、今更身体を動かすのは怖い」と相談を受けたことがあります。
その通りだと思います。
僕も、柔道をしていて怪我をして、治ってから練習に復帰するときはとても怖かったのを覚えています。
そういうときのために我々治療家が存在する、と僕は考えています。
ここからはちょっと専門的なことになるのですが、ぜひお読みいただけましたら幸いです。
「腰痛」とひとくくりにしても様々です。
実は、一番治療しにくいのは、長期間ずっと痛かったという慢性腰痛。
ギックリ腰(急性腰痛)は痛みはキツイかわりに治療をすれば目に見えて変化が出ます。
要するに「何もしてない、ずっと前から痛い、いつから痛くなったかもわからない」という慢性的な腰痛のほうが、症状はギックリ腰(急性腰痛)より軽度でも改善しにくいことがあるのです。
その点、身体を動かしてどこどこが痛くなった、というのはとても治療しやすい症状です。
気兼ねなく身体を動かしていただいて、何かトラベルがあれば我々治療家が解決するという感じで考えていただければいいのではないかと思うのです。
人の身体はよほどのことでない限り、元通りに修復されるようにできています。
痛みに生活を支配されるのって、人生かなり損してるように僕は思います。
「痛くなったら治せばいいや」くらいの感じで、自分が好きなことをやるというのが実は健康的なのかもしれません。

まとめ

さて、いかがだったでしょうか?
今回は腰痛のときに多い質問について回答させていただく形で書かせていただきました。
昔は「安静神話」と言われ、腰痛は安静第一と言われていたのですが、欧米の医療先進国では1990年代から安静にしたら回復しないよと言われていたということです。
身体のゆがみを整え、まっすぐした状態で動かすことでさらに痛みもなく安心して動かすことができるかと思います。

今後も頑張って書かせていただきますので、何か「これ書いてください」というものがございましたら遠慮なくリクエストくださいませ。