乳がん治療によるホットフラッシュを鍼治療で緩和

こんにちは、西宮のまつむら鍼灸整骨院の松村です。
最近は北斗晶さんの乳がん発表が話題になっていました。
中には、テレビで見せている食事を真に受けて批判している方もおられるようですが、真偽の程が確かではないですので、わからない範囲のことだと思います。
ただ、ひとつデータだけを上げておくと・・・・
歯科X線撮影:0.005mSv
胸部X線撮影(前後):0.01mSv
胸部X線撮影(側面):0.15mSv
マンモグラフィー:3mSv
成人腹部CT撮影:10mSv
バリウム注腸:15mSv
乳幼児腹部CT撮影:20mSv
ですので、1回のマンモグラフィー検査は胸部X線撮影(前後)300回分に相当するということになります。
だからどうかまで私はX線の専門家ではありませんので、データを紹介させていただくにとどめさせていただきますが、色々疑問に思う部分もあるのは確かです。
ま、そんなネガティブなことを言ってても身体は良くなりません。
希望が持てる情報を紹介させていただきます。

Journal of Clinical Oncology誌オンライン版 8月24日号 – に掲載された記事の実験内容

無作為化対照試験

試験方法

この試験では、治療によるホットフラッシュを訴えていた患者120例が対象となった。女性患者は無作為化され、8週間にわたる電気鍼治療、あるいは1日1回のgabapentin(ホットフラッシュを抑えるために処方される抗てんかん薬)、偽鍼治療、プラセボ(偽薬)のいずれかの群に割り付けられた。
本試験はフィラデルフィアのペンシルベニア大学で実施され、主要評価項目は毎日のホットフラッシュに関する自己申告複合スコアであった。

結果

8週時に、ホットフラッシュスコア平均減少値が電気鍼治療群で最大となり、続いて偽鍼治療群、gabapentin群、プラセボ群となった。
治療は8週で終了したが、患者は24週まで毎日、ホットフラッシュの記録を続けた。
24週時に、ホットフラッシュスコア低下の平均値が電気鍼治療群でやはり最大となり、偽鍼治療群が続いた。しかし、この時点では、プラセボ群のほうがgabapentin群より優れていた。

専門家の考察

「これらの予備試験結果は、より大規模で追跡期間の長い無作為化対照試験により確認する必要がある」。
筆頭著者でペンシルベニア大学の医学博士で家庭医療および地域医療分野の准教授であるJun Mao氏ほか研究著者は、このように述べている。
またこの試験に参加していない専門家の1人は試験デザインに感心している。
ボストンのダナ・ファーバーがん研究所Leonard P. Zakim Center for Integrative Therapiesの所長であるJennifer Ligibel氏は、Mao氏のチームについて、「適切な対照群をうまく設定していた」とコメントした。
「薬物治療における選択も適切だった。gabapentinは広く使用されており、がん患者のホットフラッシュに有効である」
同氏はMedscape Medical Newsに対し、このように述べた。
個人的に鍼治療を受けた経験のないLigibel氏は、ボストンにある自身のクリニックでの治療に強い印象を受けた。
「あらゆる治療を試しても症状が改善されない複数の患者がいたが、鍼治療を試したところ大きく改善された」
と同氏は言う。
また、鍼治療は、がんもしくはがん治療に関連する悪心、ニューロパチーおよび疼痛にも有効であることがわかった。
これらの症状はがんサバイバーでしばしば長引くが、
「われわれは十分な対処ができないでいる」
とLigibel氏は説く。
Mao氏は、乳がん患者におけるアロマターゼ阻害薬による症状の緩和に対して、電気鍼治療を実施した先行研究に参加していた。Medscape Medical Newsで報告されたように、この試験では、関節痛の女性患者において倦怠感、不安およびうつ病の「臨床的に意義のある改善」が示された。

電気を使わない通常の鍼治療でも有効か?

Mao氏は、あいまいな返事をした。
「電気的刺激のない“通常の”鍼治療と比較して、電気鍼治療のほうが効果的であるかどうかを判断するに足る研究はほとんどない」
同氏はMedscape Medical Newsにこのようにコメントしている。
しかし、「“舞台用の短剣”のように鍼柄内に格納できる鍼による偽鍼治療で、ある程度の治療効果があった」
同氏はこのように指摘している。
「これは、標準的な体の部位を軽くでも刺激するだけで効果があるということか、あるいは、それがプラセボ効果を引き起こしているということかもしれない」
同氏はこのように述べている。
また、実験室科学で、電気鍼治療は実際に効果があることが示唆されている。
「電気鍼治療については、十分な数の基礎科学実験も実施されており、疼痛処理および気分の調節に関与する特定の脳内の神経化学物質を放出させることが示されている」
とMao氏は述べる。

電気鍼の方法

電気鍼治療では、鍼を刺入して得気(ひりひり感や刺痛)が報告されるまで操作する。「経皮的な電気的神経刺激装置を使い、2本の鍼の間に2Hzの電流を流す」。治験責任医師らはこのように説明している。鍼は30分間留置する。
としている。

まとめ

この実験に限らず、いわゆるガン患者さんの色々な症状の緩和に鍼灸が効果的だと科学的に証明され出したのは、鍼灸をする私としても嬉しいことですが、患者さんにとっても、希望の光になるのではないでしょうか。
ホットフラッシュという症状だけに着目するなら、当院でも更年期障害によるホットフラッシュの治療をずっと続けており、皆さんかなり症状が緩和してきております。
これは単に更年期障害によるホットフラッシュだけでなく、更年期障害の治療として女性ホルモンのお薬をずっと服用していた人の断薬の際に出るホットフラッシュも同様でした。
今回の乳がん治療の患者さんのホットフラッシュという症状が、gabapentinよりも効果的であったというところが個人的にとても良いことだと思います。
gabapentinは抗てんかん薬ですので、あまり長期服用するのはどうかと思うものですので。
海外では鍼灸の研究が行われてきております。
現在、筋膜の治療に鍼灸が良いということで、アメリカでその実験も行われているようです。
日本も現代医学だけでなく、こういう伝統医学をもっと取り入れていくべきなのではないでしょうか。
引用元
http://jco.ascopubs.org/content/early/2015/08/21/JCO.2015.60.9412.abstract