こんにちは、西宮のまつむら鍼灸整骨院の松村です。
『片頭痛(偏頭痛)の対処法① 〜ズキズキ痛む頭痛編〜』
『片頭痛(偏頭痛)の対処法② 〜キリキリ締めつける頭痛編〜』
の続きです。
前回までは、まあたくさんの方がお悩みの頭痛について書かせていただきました。
今回は、
「頭頸部外傷後の頭痛」
について書かせていただきます。
頭部外傷後の頭痛
これに関しては、整骨院・接骨院、鍼灸院等で対応できるものではありませんし、ましてや無資格の整体やマッサージ等に行くのもとても危険です。
また、自分でケアできるものかどうかも、いわゆる「素人判断」ではできません。
脳神経外科等に受診をして、しっかり医師の診察、指導を受けるようにしてください。
ムチウチによる頭痛
交通事故等で、ムチウチになった際、その後に頭痛が出ることもあります。
我々整骨院・接骨院でもよく目にする症状でもあります。
ムチウチ後の急性頭痛
国際頭痛学会・頭痛分類委員会によると、ムチウチ後の急性頭痛の診断基準は以下の通りになっております。
A. C およびD を満たす頭痛で、頭痛の性状に特有なも のはない
B. むち打ち(突然かつ有意の頸部の加速・減速運動)を 経験しており、その際に頸部痛を伴う
C. 頭痛はむち打ち損傷後、7 日以内に出現する
D. 以下の項目のうちいずれか1 項目を満たす
1.頭痛はむち打ち損傷後、3 ヵ月以内に消失する
2.頭痛は持続しているが、むち打ち損傷から3 ヵ月 は経過していない
まあ、要するに事故等で首を痛めてすぐに頭痛が出て、それまでには頭痛がなかったという場合ということになります。
我々臨床の現場にいても、ムチウチ後に頭痛が出ていることは非常に多いです。
むち打ち損傷による慢性頭痛
これも国際頭痛学会・頭痛分類委員会の診断基準から引用させていただきます。
A. C およびD を満たす頭痛で、頭痛の性状に特有なも のはない
B. むち打ち(突然かつ有意の頸部の加速・減速運動)を 経験しており、その際に頸部痛を伴う
C. 頭痛はむち打ち損傷後、7 日以内に出現する
D. 頭痛はむち打ち損傷後、3 ヵ月以上持続する
となっております。
要するに、怪我をしてから三ヶ月以上ずっと頭痛が続いていることを言います。
ムチウチ後の頭痛の対処法
急性頭痛は、かなり高い頻度で出る症状ですので、しっかりと首の治療をしていくことで改善されることも多いです。
その際、適切な治療を選択していかないといけないのですが、ここが非常に難しいところでもあります。
というのも、例えば牽引治療は効果的でないと世界的にわかっていますが、まだ日本の整形外科ではムチウチの治療で牽引治療をしていると聞きました。
その時点で適切ではありません。
では、接骨院・整骨院なら必ず大丈夫なのかというと、必ずしもそうとは言い切れない現状があります。
このあたりの事情を詳しく書きすぎると、今回の記事の趣旨が変わってしまいますので、今回は簡単に書かせていただきますが、普通の接骨院・整骨院は健康保険で治療しているところが多いです。
ただ、本来接骨院・整骨院で健康保険で治療が可能なのは、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷だけです。
肩こりや慢性腰痛は、元々保険が効かないのです。
にも関わらず、肩こりとかの患者さんを捻挫や挫傷に置き換えて請求しているんです。
で、もちろんそれを行政が放置しておくわけもなく(かなり長年放置してきましたが)、現在保険の取り締まり的なものが非常に厳しくなっているんです。
そうなってくると、今度は交通事故の治療にシフトしてきます。
まず、同じ治療をしても、健康保険よりも単価が高い。
そして医師の診断書もあるので、肩こりを捻挫や挫傷と置き換えているわけでもないのでつっこまれにくい。
このような理由から、交通事故で怪我をした方を熱心に集める接骨院・整骨院が増加したんです。
が、はやり収益を上げることだけを目的としている院は質があまりよくない。
「交通事故専門」とか「厚労省に認められた」と書いてあるところはヤバい。
だって、接骨院・整骨院は怪我の専門であって、交通事故専門ではないですし、厚労省がその接骨院・整骨院に認可を出しているわけでもなんでもないわけですから。
要するに、「ほとんどウソ」と言っていいようなことを書いてまで交通事故で怪我をした方を集めているということになります。
私の知る限り、平気でウソをついている院に、良い院はありません。
なかなか正しい選択ができない環境ではあるのですが、なるべくまっとうな接骨院・整骨院を選択してくださればと思います。
なお、ムチウチは首の外傷(怪我)です。
診断書に「頸部捻挫」「頸椎捻挫」と書かれている場合、医師、もしくは接骨院・整骨院だけが法的に治療していいことになっております。
無資格の整体等は法的に認められておりませんのでご注意いただければと思います。
慢性化している場合は、「脳脊髄液減少症」の可能性もあります。
この場合、一度専門医に相談してみる必要もあると思いますので、ムチウチ後、長く頭痛が続く場合は、一度病院での検査等をオススメいたします。
ただこの頭痛を含め、ムチウチ後にいろいろな症状が出るものを「むち打ち後症候群」と呼ぶのですが、実は国によって発生率がかなり違います。
これは、補償の問題等が関係しているのではないかと言われています。
まとめ
不幸にも、事故等でムチウチになってしまった場合は、いかに早く適切な治療をするかで治る期間も変わってきます。
先述しましたが、適切な治療を提供できるところを探すのも困難な環境ですが、なるべく良質な接骨院・整骨院を選んでいただければと思います。
慢性になっている場合は、先述したように「脳脊髄液減少症」であることも多いですが、実は加害者側の保険会社の対応の善し悪しで治る期間が長くなったり短くなったりするとも言われています。
人身対応の係の方の中には、結構悪質な人もいます。
そういう場合、被害にあったのにも関わらず誠意のない対応をされるストレスから、衆生が長引くことも多いので、少しでも嫌な思いをしたら、担当を変えていただく、電話等を録音して本社等の苦情係に証拠を提示しながらしっかり対応してもらうようにする、自分じゃないと交渉できないようなこと以外は弁護士等に任せる(弁護士特約等をつけておくといいかもしれませんね)などで、なるべくストレスを感じないようにしてみてください。